本記事は、ハチイチ商店で販売している商品の生産者様にインタビューを行い、その会社の歴史や、商品へのこだわり、ものづくりへの思いをご紹介しています。
今回は、佐々木商店の佐々木 学さんにお話を伺いました。
「佐々木商店」の歴史
佐々木学さんの祖父にあたる初代・佐々木健太郎さんが、昭和20年に岩手県陸前高田市米崎町にて、イワシ定置網漁・海苔網養殖を始めました。
その後、2代目の佐々木洋一さんが「丸吉水産」を設立。漁協との共同販売から独立し、全国の魚市場との取引を開始しました。
3代目の佐々木学さんが平成24年12月に、「雪解け牡蠣」を中心とした牡蠣のブランディングやECサイトでの個別販売を行う、「佐々木商店」を設立されました。
佐々木学さんについて
牡蠣の養殖を営む家庭に3代目として誕生した佐々木学さん。
高校は水産高校へ進学し、船舶免許など水産業に必要な免許を取得され、さらに専門的に学ぶため、大阪にある専門学校の増養殖学部に進学。
卒業後は、1年ほど大阪で釣り船関係の仕事をした後に地元に戻り、家業を継がれました。
雪解け牡蠣の由来
佐々木商店さんが取り扱う「雪解け牡蠣」について名前の由来を教えていただきました。
牡蠣は春になると夏の産卵に向けて、パンパンに太ります。
というのも、春は牡蠣にとって一番条件の良い時期。冬に積もった雪が、暖かくなるにつれてどんどん溶け、川から海へミネラルたっぷりの雪解け水が流れ込んできます。
さらに、季節の変わり目には木枯らしが吹き、この風で海水がかき混ぜられることによって、海底に眠っている栄養分と雪解け水が混ざり合うことで、プランクトンが爆発的に増えます。
この一番美味しい時期である4月から5月ごろの牡蠣を「雪解け牡蠣」としてブランド化したそうです。
雪解け牡蠣の特徴
雪解け牡蠣をはじめとする岩手の牡蠣の特徴は、とにかくサイズが大きいことだそうです。
2年かけてじっくり育てた牡蠣は、殻自体のサイズが手のひらサイズのものも。
佐々木さん曰く、全国シェアのおよそ70%を占める広島県の牡蠣と、全国シェアがおよそ3%しかない岩手県の牡蠣を差別化するにはどうしたら良いのか。
試行錯誤を続けた結果が、この大粒の牡蠣なのです。
牡蠣を食べようと殻を開けた際に「あれ、思ったよりも粒が小さいな?」「火を通したら身が縮んでしまった」という経験がある方も多いのではないでしょうか。
雪解け牡蠣は、加熱しても実が縮まない牡蠣に育てることに力を入れており、その結果食感も味も良いのが特徴です。
牡蠣の身を大きくするためのひと手間
佐々木商店さんが取り扱う雪解け牡蠣には、他の養殖牡蠣ではほぼ行われていない工程を加えることで身を大きくしているそうです。
陸前⾼⽥市にある広⽥湾は、⼭のミネラルをたっぷり含んだ栄養豊富な海域となっており、美味しい海産物が育つことで有名です。
牡蠣の養殖のためには、まず牡蠣種(牡蠣のこども)を調達します。牡蠣種はホタテの貝殻にくっついて育つのですが、栄養が行き届くようにこの時点で間引きます。
牡蠣が成長していくと、わかめやムール貝などがくっつき、牡蠣の栄養を奪い始めます。これらの付着物はお湯につけることで、取り除くことができるため、夏場には牡蠣ごとお湯につけます。
さらに牡蠣を一度陸にあげて、細かい付着物をひとつひとつ手作業で削り取る作業も行います。
この他にも、プランクトンが豊富な海域へと移動させるなどの作業を行うことで、牡蠣の身を大きくさせています。
おすすめの食べ方
牡蠣好きな方が一番気になるのは、牡蠣のおすすめの食べ方ではないでしょうか。
佐々木さんにおすすめの食べ方を教えていただきました。
雪解け牡蠣はやっぱり生が一番。 生牡蠣が苦手な方は、殻の上に身を並べて上からラップをかけて電子レンジで蒸すと、簡単に蒸し牡蠣ができます。 春先の牡蠣なら、加熱しても身が縮みにくいのが特徴なので加熱調理もおすすめです。 生牡蠣が食べられる方には、炙りもおすすめ。ガスバーナーで表面に焼き色をつける程度で炙ると、焼きの風味と生の風味が両方味わえます。 |
陸前高田の牡蠣養殖のこれからと消費者への思い
最後に、陸前高田の養殖業のこれからと消費者の方への思いを佐々木さんにお伺いしました。
牡蠣の養殖で生き残っていくためには、牡蠣を大量生産していくのではなく、品質を磨き評価を上げていくことによって牡蠣の価値を上げていくことが大切だと考えています。
まだまだ佐々木商店の雪解け牡蠣は知名度が低いですが、一度食べていただければ喜んでいただける自信があります。実際に食べた方からの感想をお手紙などでいただくことも多いです。
牡蠣はご家庭で頻繁に購入される食材ではないですが、SNSなどを通してもっと牡蠣について多くの方に知ってもらいたいと思っています。
今回は佐々木商店の佐々木学さんにお話を伺いました。
ありがとうございました。
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