本記事は、ハチイチ商店で販売している商品の生産者様にインタビューを行い、その会社の歴史や、商品へのこだわり、ものづくりへの思いをご紹介しています。
今回は、会津の馬刺しをはじめ馬肉や豚肉の加工品の卸事業を行う株式会社ハヤオの、武田さんと早尾さんにお話を伺いました。
『会津』からこだわりの食肉を届ける。株式会社ハヤオの歴史
株式会社ハヤオは昭和33年に、現会⻑である早尾章氏によって創業されました。
戦後、お肉を食べる文化が徐々に広まりを見せるなかで、会津若松地区の食肉センター(と畜場)に出資をして、地元の精肉店に肉の卸売業を始めたことから事業がスタートしました。
現在は、地元のスーパーや、飲食店、県外の飲食店にも馬肉や豚肉の加工品を卸しています。
武田さんは異業種から転職し、今年で入社23年目を迎えるベテラン社員です。
山形出身で株式会社ハヤオに入社するまで、馬刺しにはあまり馴染みがなかったそうです。馬刺しを食べた時は、馬肉とタレの絶妙なマッチングに、とても美味しいと感じたそう。
現社⻑の息子である早尾さんは約5年間税理士として勤務した後、実家の株式会社ハヤオに入社しました。武田さんとは正反対で、馬刺しが2〜3日に1回のペースで食卓に並ぶ馬刺し文化の中で育ちました。
会津の馬刺しは赤身に辛味噌を合わせ、さっぱりと楽しめる
会津に馬刺し文化が広まったのは、昭和30年代に巻き起こったプロレスブームの火付け役となり国⺠的人気を博したプロレスラーの力道山が大きく関係していると言います。
会津の鶴ヶ城で興行を行った際に食肉専門店に立ち寄り、つるしていた馬肉を見るなり「おじさん、その馬肉を生でくれ」と言って、お弟子さん持参の壺に入ったタレを付けて、その場で馬肉を食べ始めたそうです。
当時、生で肉を食べる文化はなかったため、その光景は衝撃的でした。しかし、保健所に確認して安全性に問題ないことがわかりました。
そして、力道山が持参したタレを基に辛味噌を開発して馬肉と合わせて売り出すと、その美味しさから徐々に辛味噌を馬肉に付けて食べる習慣が会津地方に広まっていきました。
馬刺しといえば熊本の馬刺しも有名ですが、会津馬刺しは熊本県に次ぐ全国2位の生産量を誇ります。そして、両者は全く異なる特徴を持っています。
会津の馬刺しは、軽種馬の肉を使用しており、脂身が少なく色鮮やかな赤身が特徴です。一方、熊本の馬刺しは、より大きな重種馬の肉を使用しており、脂がのっているのが特徴です。
自慢のお肉と秘伝の辛味噌が絶妙にマッチ
株式会社ハヤオの馬刺しは、柔らかい食感が特徴的です。
食肉センターと加工場が一体となっており、鮮度を保ったまま馬刺しをお客様のもとへ届けることができます。人気の部位は、「もも」だそうです。
この秘伝の辛味噌は20年以上前に現会⻑の奥さんが配合して作ったもので、現在でもベースの味を大切にしながらも時代に合わせて少しずつ味を変えています。
にんにくが効いていてピリッと辛いのが、秘伝の辛味噌の特徴です。
この辛味噌に馬肉をつけることで、会津の馬刺しにしかない味わいが生まれます。
辛いといっても、子供たちが食べられない辛さではありません。
子どもでも食べられる味付けにしている背景には、ある思いがあるそうです
「会津の馬刺しは会津の食文化の一つだと考えていますし、ふるさとの味になってほしいと思っています。
将来、会津を離れて巣立っていく子もいると思いますが、大人になった時に「子供の頃に食べた馬刺しを、また食べたいな」と思い出してほしいです。
辛くし過ぎると子どもたちが食べられなくなってしまうので、子供たちも食べられる辛さにしたいと思って作っています」
衛生管理を徹底して、安全でおいしい馬刺しを提供
味と同様に重視しているのが、衛生管理です。
食品の安全性を確保するため、2年前から食品事業者にはHACCPによる衛生管理が義務付けられていますが、株式会社ハヤオでは20年以上も前からHACCPに取り組んできました。
その結果、これまでに大きな食品事故を起こしたことはありません。
「加熱すれば、ほとんどの食中毒菌は殺菌できます。しかし、馬刺しを提供する際には、加熱ができません。
そのため、より一層衛生管理に取り組んでいく必要があります。馬刺しを食べて、一人もお腹を壊してほしくないです。
食品事故が起こらないように、各工程で危険要因を徹底的に取り除く努力をしています」と話します。
株式会社ハヤオでは、会津馬刺しを商品として出荷するまでに複数回の洗浄や殺菌を行っています。
他にも、低温管理や低温流通、殺菌管理などを行い、衛生管理には十分に配慮しています。
また、自主検査は毎日行っている他、従業員の衛生管理も徹底して、安全でおいしく食べられる馬刺しの提供に努めています。
お客様への思い
最後に、お客様への思いをお聞きしました。
最近の物価上昇により馬肉は高級品となり厳しい状況が続いていますが、私たちは特別な日に食べていただく馬肉で、お客様の食卓を笑顔にすることを夢としています。
そのためにも、安全で美味しい馬肉を追求していきます。
今回は、株式会社ハヤオの武田さんと早尾さんにお話を伺いました。
武田さん、早尾さん、ありがとうございました。